チャンネル

2チャンネル

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 2チャンネル

 目が覚めると、TV2チャンネルがザーッという音を出していた。寝返りを打ったときに下にリモコンがあったのか、それともカワイイあの娘が忍びこんでいたずらをしていったのか、原因はそのどちらかであろう。リモコンの方が現実的だが、本当の事は誰も知らない。


 それにしても、いつの間にか眠ってしまっていた。眠る前は確か、スポーツニュースが終わって下らない深夜映画が始まったところだったと思う。要は自分にとってプラスでもマイナスでもないものを、ぼんやりと見ていたということだ。チャンネルを正常に戻すために、腕の半径で届く範囲でリモコンを探した。それは脇のあたりにあった。やはり踏んづけてしまったのだろうか?


 深夜だけあって、多くのTV局はすでに滅びていた。ピーという電波音はどの放送局でも発していたが、少しずつ音程が違った。その違いを比べることに飽きると、電源を切った。プツンという音をきっかけに、元の静かな部屋になった。そう言えば今日は日曜日だった。日曜の夜から月曜の朝にかけては、ほとんどの人間は眠っている。それにつられて、動物や植物も生気を感じさせない。たまに、冷蔵庫が悩んだりやめたりするだけだ。ときどき携帯が鳴ったような気がして振り向いてみるが、光ってはいなかった。常識のある人間はこんな時間に電話をかけないし、健全な人間なら寝ている真っ最中なのだ。僕はしかたがないので、天井とにらめっこをした。しばらくして天井が勝った。

 

 僕はまず、2チャンネルの存在について、考えた。

 基本的に映るチャンネルは、1,3,4,6,8,10,12であり、その間が1つ飛びになっているのは、隣り合って電波が近すぎると妨害してしまうということだ。そういうことからも、2チャンネルは捨てチャンネルなのだ。しかし、リモコンには必ずボタンがついている。そして、僕らは番組を変えると時々まちがえて押してしまう。

 

 […お待たせしました〜!本日のゲストは…]パチッ

 [ザー]チェッ

 […Babyyou don’t give me?…]パチッ

 

 僕は次に、2チャンネルにあの娘が閉じ込められている事について、考えた。

「ねぇ、そっちは楽しいかい?」と僕は聞いてみた。

「うーん、まぁまぁよ。外のことに興味がないって言ったら嘘になるけど、私自身でいられるからここにいるの好きよ。」

「だけど君はこっちの人間じゃないか。」

「違うの。そっちにいるのは想像の私で、こっちにいるのが現実の私よ。ザーッていう音こそが私なの。うまく説明できないけど、そういうことなの。あなたのいる世界も楽しそうだけど、今は出るわけにはいかないの。そんな気がするの。」

「ずっとそこにいるのかい?」

「わからないわ…」

「待ってるよ。」

 

 あの娘が行ってしまうと、僕は再び大きな夜の中の狭い部屋に取り残された。時計の針がやけにまとわりついていた。この音はあの娘にも届いているのだろうか。1秒に1回カチッと鳴る度に、僕の心は部屋のどこかへぶつかった。まるで、小さな虫が光を求めて何回も窓にぶつかるように。

 カチッ、カチッ、カチッ。

 永遠。 ザー





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