アーミー ジョン

アーミー

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アーミー





  ジョンはほふく前進していた。
  そしてジャングルは彼を蟻にした。


   もうすぐだ、もうすぐで敵の要塞が見えてくるはずだ。
  サーチライトは闇をぐるぐるとかき回し、
  獲物を探していた。しかし光線の軌道上には
  埃しか捕まらなかった。フクロウだかコウモリだかが
  1匹、うまく光をかわしていた。
  草が顔に当たり視界を遮ったが、
  特に気にはならなかった。
  ジョンは(もうすぐだ!)と思った。


   部隊は隊長を始めジョン以外はすでに全滅していた。
  ジョンは故郷に残してきた彼女(ルーシー)のことを思った。
  彼の心の中では様々な人間が生きていたが、
  その中でも一番体積を占めていたのは、
  やはりルーシーだった。


   彼らが初めて出逢ったのは、ハイスクールの
   オープンテラスだった………


   それ以来、彼らはいっしょにランチを食べ、
  いっしょにゲットホームし、いっしょにメイクラブした。
  ジョンはそんな生活の循環にとても満足していた。
  ルーシーはハイスクールの中でも、
  準ミスに選ばれるくらいの美貌だったし、
  そのくせ性格も曲がったところがなく
  すっきりとしていていた。
  ルーシーはジョンのためによくピィツァを焼いた。
  ルーシーのファミリーは気持ち良くジョンを迎え入れた。
  「Would you like another coffee?」とか
  「空調は効きすぎていないか?」
  とか言って彼に気を使ってくれた。リビングのステレオでは
  RSやJBがヘビー・ローテーションでかかっていた。
  このファンキーな両親のおかげで、2人は放任されていた。
  家族との食事が終わると、
  2人は近くのパークまで散歩した。
  そこで何の抵抗もなくキッスをした。
  野良ドッグだけがそれを見物していた。
  そして何もなかったかのように、
  再びルーシーを家に送ってからグンナイした。


   マイクはバンドでドラムを叩いていた。
  そのスカした性格はほとんどの
  スチューデントの反感を買った。彼はガールフレンドが
  5,6人いて、あかぬけていた。
  誰もが反感を示してはいたが、彼には一目置いていた。
  ルーシーも口では「ファッキン・ガイ(嫌な奴)」
  といいながらも、気になる存在であることを、
  自分でも認めたくないといったふうであった。


   ある日の午後、ルーシーはハイスクールの
  ライブラリーに行った。先週貸し出し中だったお気に入りの
  作家の本の順番がやっと回ってくるのであった。
  カウンターに並んでいると、ポケットに手を突っ込んで
  上段の本を見ているマイクがいた。
  (なんであいつがこんな所にいるのかしら?)
  ルーシーは思った。ルーシーは3冊の分厚い本を
  かかえながら、ちらちらとマイクを見た。
  マイクは全然こっちを見る様子もなく、
  本棚を見上げていた。
  貸し出し手続きを終えて、ルーシーはマイクの方へ
  歩み寄って行った。
  「Hi, it’s strange that you come in such a place.」
  「I’m just looking for honesty.」
  「I don’t understand your feeling.」
  「It’s so precious for me.」
  「……」
  「Shall we take a walk?」
  「………でも」
  法律に引っかからないことはたくさん存在した。


  ジョンはほふく前進していた。
  そしてジャングルは彼を蟻にした。


   もうすぐだ、もうすぐで敵の要塞が見えてくるはずだ。
  部隊は隊長を始めジョン以外はすでに全滅していた。
  彼の心の中では様々な人間が生きていたが、
  その中でも一番体積を占めていたのは
  やはりルーシーだった…


  ジョンはまた一歩前進した。











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