高校野球

スポーツ名場面〜高校野球

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スポーツ名場面〜高校野球



  「嗚呼 栄冠は君に輝く♪」
  夏の名物の一つと言えば、高校野球だ。


  プロみたいに有名な選手が出ているわけでもないし、
  高校野球が見たくてテレビをつけるわけでもないが、
  必ず毎年何試合かは見てしまう。


  そして、いつの間にか無名の高校球児たちの
  頑張りにのめりこんでしまい、
  試合が終わると絶対と言っていいほど、
  泣いている自分がいる。




  




  1996年夏の甲子園決勝、松山商業−熊本工業の一戦は
  延長戦に突入していた。
  9回裏、松山商は全国制覇まであと1人としながら、
  痛恨の同点ホームランを浴びてしまう。


  そのショックを引きずるように10回裏も1アウト満塁と
  一打サヨナラの大ピンチを招く。


  続くバッターへの初球、快音が甲子園に響き渡った。
  打球は高々とライトに上がる。
  「サヨナラホームランか?」
  アナウンサーの絶叫が聞こえる。




  




  運良く打球は浜風に戻され失速し、
  ライトの矢野勝嗣のクラブになんとか収まった。


  が、犠牲フライには十分な距離である。
  3塁ランナーは当然タッチアップから
  ホームベースへ突進してくる。
  「終わった・・・」誰もがそう思わざるを得なかった。


  矢野はあきらめず渾身の力をこめてバックホーム。
  一瞬の静寂が球場全体を包んだ。
  次の瞬間、ダイレクト返球は吸い込まれるように
  キャッチャーミットにすっぽりと収まり、
  そこへ3塁ランナーが滑り込む。




  




  「アウトォー!!」。審判の声が響き渡り、
  熊本に行きかけた深紅の大優勝旗は
  くるりと踵(きびす)を返した。


  高校野球ファンなら誰もが思い出す
  “奇跡のバックホーム”。
  このプレーで試合の流れは一気に変わり、
  栄冠は松山商に輝いた。


  絶対絶命でもあきらめない姿勢、
  プロにはない潔さ、


  高校野球を見て泣くようになったのは、
  大人になってからだった。





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